業績は低迷、構造転換期にある製薬企業
製薬企業の事業・収益構造は、医療費適正化の流れを受けた薬価算定の厳正化と海外進出によって転換期を迎えている。
海外では企業買収とブロックバスターの相次ぐ特許切れにより不安定な状況である。 国内では今まで安定的に利益を稼ぎ出していた新薬が長期収載品への移行と共に、後発品に変わり収益力の低下を招いている。その中でも売上高に占める長期収載品比率が低く、新薬、特に新薬創出加算を受けた新薬をもつ外資系企業が健闘している。 東証一部上場の35社の2012年3月期決算の売上高は8兆3,710億円で、前期比は0.1%増、営業利益においては1兆2,720億円で8.6%の減収と厳しい経営環境にある。 その中でも大塚製薬(エビリファイ)、帝人ファーマ(フェブリック)、大日本住友製薬(ラツーダ)などは海外事業でも収益が堅調で安定している。 また、ジェネリックメーカーは薬価・診療報酬改定を受け各社20%程の売上増加となった。 また大手先発メーカーも相次いで参入。先発品の特許切れでの収益減をカバーする動きが顕著となった。
新薬の上市として、2012度は糖尿病治療薬や骨粗鬆症治療薬が続々と発売され、DDP-4阻害薬は1600億円を超えるまでに成長。ARBは配合剤にシフト傾向が続き、薬価引き下げなどの影響で頭打ちとなった。
またMR総数は過去最高の64,000人を突破したが、医療用医薬品のMR数はここ数年54.000人で推移している。大手・準大手では現状維持、増員は一部中堅スペシャリティー企業やジェネリック企業であり。MR総数の増員分はアウトソーシングの流れでCSOのコントラクトMR数の増員によるところが大きい。
2013/4